楽になるには"コツ"がある

広島県東広島市にある「すじと骨の けんびきや」のブログです。

自然物はデザイナーの夢を見るか?~ 佇まいから垣間見える骨格構造の機能美 ~

 前回の記事で、けんびきやでは良い姿勢の条件の一つに「骨格で立つ」事を挙げている……と書きました。

 

kenbikiya.hateblo.jp

 

 ここで言う骨格とは比喩でもなんでもなく、そのまま人間の骨のことです。骨格模型とかで検索をかけると出てくる、人型の骨の集まりのことです。
 『関節で結合した複数の骨および軟骨によって構成される構造のこと ― Wikipediaより ― 』になります。

 人間というのは二本脚で立っている動物です。文字通り屋台骨となっているのが骨格なのです。
 もちろん、二本脚で立つという行為は骨格だけで成り立っているわけではありません。筋肉によって骨格を維持し、姿勢を保ちます。また近年注目されつつあるファシア(筋膜など体の組織を包む膜)もひと役買っています。
 しかしその基本となるのはやはり骨格です。
 人間は四つ脚から二本脚で直立する姿勢へと進化しました。地球の重力に耐え直立できるように骨格構造を作ってきたのです。その構造を利用して立つのが、一番理にかなった立ち方ということになります。
 ではどういう状態なら構造を利用した立ち方と言えるのか?

 よく言われるのは立っている人を横から見て、耳・肩・腰(腸骨稜という腸骨の一番上の部分)・股関節・膝・足首といった部分が一直線上に並んでいる状態です。
 この状態なら体重を骨格という構造で支えている、つまり「骨格で立っている」と言って差し支えないでしょう。
 逆に骨格で体重を支えていない場合――例えば背中を丸め頭を前に突き出す猫背だと、主に筋肉を使って支えているということになります。そうなると筋肉に必要以上の負担を強いているので、いわゆる凝りであったり痛みが出たりします。

 けんびきやではこの「骨格で立つ」というのを「背伸び運動」で体感してもらうのですが、実は「背伸び運動」だけで完結するわけではありません。その人の体の状態によっては他の運動を組み合わせて「骨格で立つ」クセをつけてもらうための体の使い方を指導します。
 そしてもう一つ。運動で体感してもらう以外にも「骨格で立つ」ことを確認する方法を伝えます。
 それは「立ち姿」です。可能であれば普段の生活の中で、大きな鏡(もしくはガラス窓)で自分の立ち姿を見てもらうのです。

 骨格で立っていない猫背は、悪い姿勢の中でも比較的よく見かけます。背中を丸めて頭を前に突き出した状態になることが多く、見た目にハッキリ分かります。
 では骨格で立っている場合はどのように見えるのか? 横から見て六つのポイントが一直線に並んでいる……とうのも確かにそうです。或いは顎を引いて背筋を伸ばして……なんていうのもそうですよね。
 ですが、けんびきやでは骨格で立った場合の見え方として二つ挙げています。

 一つ目は肩周りの余計な力が抜けている――力んでいないこと。
 これは、糸の切れた操り人形みたいにダラリとしている状態のことではありません。真っ直ぐ立っているが、胸や肩などを張っていない両腕がダラリとぶら下がった状態です。
 男性に多いのですが、肩を後ろに引き胸を張ってみたり、肩を少し持ち上げてみたり(怒り肩)している方を見かけます。そうすると見た目の威圧感はありますが、良い姿勢であるとは言えません。また、骨格で立っているとも言えません。
 理由は胸を張ったり肩を怒らせるというのは、筋肉に余計な仕事をさせているからです。

 そして二つ目。これは一つ目と重なる部分もありますが、立ち姿が「美しいこと」です。力みなく骨格で立っている状態というのは、それだけで美しく見えます。
  人間の骨格構造は二本脚で直立することを目的に進化してきました。もちろん骨格の役割はそれだけではありません。しかし二本脚で直立することに最適化した構造になっていることは確かです。
 機能美という言葉があります。建築や工業製品などの人工物に使われる言葉で、

『余分な装飾を排してむだのない形態・構造を追求した結果、自然にあらわれる美しさ。』
『実用品として作られた物が、その機能を十分発揮することで発現する美のこと。 』
   ―― いずれもコトバンクより ――

 などの意味になります。
 骨格は人工物ではなく自然物ですが、その機能(ここでは骨格という構造)を十分に発揮している立ち方はやはり美しさが出ていると私は考えています。骨格構造における機能美(敢えてこう言います)が現れていると。
 実際、骨格で立った状態を鏡で確認してもらうと綺麗に立っているというのを誰もが実感します。
 これは美男美女であるとか、スマートな体型をしているとかといった外見の話ではありません(外見云々は造形美の話です)
 ですから「骨格で立つ」ことで現れる「美しさ」とは体型に左右されない佇まいからくる雰囲気であり、無駄のない「美しさ」がそこから感じられます。要は「堂々としている」や「若々しい」といった人に与える印象と同じなのですが、印象がその人の体の状態を表していることも多々あるのです。

 けんびきやではこのように、立ち方も「方法」として指導するのではなく「体感」と「印象」によって身につけてもらえるよう指導しています。

 

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