楽になるには"コツ"がある

広島県東広島市にある「すじと骨の けんびきや」のブログです。

「そろりそろり」って言いながら歩くといいかもしんない。

 前回の続きから。

kenbikiya.hateblo.jp

 まだ読まれていない方は、ご一読下さい。

 「踵〝から〟〝着いて〟足先へとスムーズに体重移動」する歩き方というのは、世間一般で推奨されている歩き方になります。ウォーキングの説明なんかでも、よく見かける歩き方です。
 実はこの歩き方、靴ありき、洋装ありきの欧米人が行う洋式(?)の歩き方になります。
 踵から着地して順に指先まで接地して蹴り出す、いわゆる「後方蹴り出し」を推進力とした歩き方です。そして残した脚を真っ直ぐ伸ばして(膝は曲げない)、蹴り出した後は振り子のように脚が後方から前方へと移ります。見た目にもダイナミックで「颯爽と歩く」という表現にふさわしい歩き方になります。また振りだした脚と逆の手を腕腰の捻りによって腰の捻れも生まれます。

 これに対し「前方踏み込み」によって進んでいるのが和式(?)の歩き方。いわゆるすり足での歩き方です。前に出した脚を(膝を)軽く曲げ、前足に寄せるように後ろ足を運びます。後ろ足で蹴らないんですね。そして腰より上は殆ど動かない。
 この歩き方は草鞋や下駄などの鼻緒がある履き物や着物、いわゆる和装に適した歩き方になります。歌舞伎や能の歩き方を想像してもらうと分かりやすいと思います。
 「しゃなりしゃなり歩く」と言う表現は、この歩き方で行う方がしっくりくると個人的に思います。

 ちなみに「すり足」と言うと文字通り足裏を摺って歩く人もいますが、自分は武道をしていた頃に僅かに足を浮かせた状態で進めると教わりました。そしてつま先(前足部)と踵(後足部)をほぼ同時(もしくは足裏全体を同時)に着くようにします。当時は「畳の上に濡れた和紙を敷いて破かないように歩け」なんてことを言われていました(そういう練習をしたことはないですが ^^;)
 すり足をすることによって姿勢の制御に大腰筋を使うので、加齢による衰えに負けない足腰を作れるという効果もあります。

 じゃあ、この二種類の歩き方のどっちがいいの? ってことですが、それぞれに利点があります。また生活様式が西洋化した現代の日本では(洋装の生活でのあるので)、場面によってこの二つを使い分けた方がいいのかもしれませんね。
 しかし、けんびきやで推奨させてもらっているのは後者の――和式の歩き方です。もっと言うと和式をベースとした洋式との折衷案になります。
 和式のように足を運び(引きずらないすり足)、そこに腰の捻りを推進力として加える。但し、腰の捻りは表に出さない――つまり表面上は捻らない(体内で処理をする)――という歩き方です。

 ですがこれだと身体操作まで踏み込んで(腰の捻りは表に出さないという部分)いるので、できるようになるまで時間がかかります。また、他の運動も合わせてやる必要があります。
 なので運動指導で歩き方を教える場合は、もっと簡単なポイントに絞って教えています。
 それは〝つま先着地〟を意識した足運びです。注意して欲しいのは〝つま先立ち〟で歩くと言っているのではないということです。
 一般的に言われているのが「踵〝から〟〝着いて〟足先へとスムーズに体重移動」するのであれば、こちらは「つま先〝から〟〝着いて〟足の裏全体(踵まで)で踏んで体重移動(前方踏み込み)」する歩き方です。

 この歩き方の利点は「足が本来持つクッション性を利用できること」と「足本来の機能でを失わないために足の指を使えるようになること」です。
 足には三つのアーチがあると言われています。このアーチがあるおかげで、着地の衝撃から身を守れていると言えます。
 一番分かりやすいのは「土踏まず」のできる足の内側(親指側)のアーチ。その他にも足の外側(小指側)のアーチと前方(指のある側)のアーチがあります。
 そして指を使うことで鍛えられるのが前方(指のある側)のアーチです。前回『「踵〝で突く〟」歩き方をしている方は、足の指が上手く使えていない場合が多いです。』と書きましたが、そう言った方は、ほぼ例外なく前方のアーチが崩れています。
 足を正面からみると五本の指が平たく並んで、足の裏もペッタンと平らになっているんですね。これを〝開張足〟と言います。

 この開張足にならず且つ、前方のアーチを維持していくのに有効なのは、足の指をしっかり使うことです。
 足の指を使うことによって、足の甲にある骨間筋(中足骨と言われる指の骨の間にある筋肉)が鍛えられます。この骨間筋がしっかり働くことが足にとって大事なのです。
 これは外反母趾や内反小指(小指が内側に入ってしまう)といった症状の予防や改善にも有効です。
 もちろん個別に鍛える運動というのはありますが、普段行う歩行という行為の中で鍛えていけるので、けんびきやでは「つま先着地」を推奨しています。

 ちなみに運動指導をする時は室内で行います。なので、外で歩く場合とは条件が異なります。
 一番大きな条件の違いは、靴を履いていることです。靴というのは基本、踵側を厚くしてクッション性を持たせています。なのでつま先から着地しようとしても、踵が先に着地してしまうことが多いです。また、踵の厚い靴でつま先着地しようとすると、変な歩き方になってしまします。
 ですから、けんびきやで指導する時は靴を履いている場合は「踵が先についてもいいか体重はつま先(母趾球)に乗せるように意識する」と教えています。

 こうした歩き方については、昔から言っています。

 ※現在非公開

 こちらは五年前の記事ですが、基本的な考え方は今も変わっていません。リンク先のブログ記事には以前に「ヘルモア」さんで書かせていただいたコラムへのリンクも貼ってあります。
 今回の内容も含めて、けんびきやで推奨する歩き方について色々書いてあるので、もしよかったらお読み下さい。
 また実際の歩き方などに興味を持たれた方は、けんびきやまでお越し下さい。

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