楽になるには"コツ"がある

広島県東広島市にある「すじと骨の けんびきや」のブログです。

おい腹筋と背筋、もうお前たち付き合っちゃえよ! 内から支えることの重要性。

 前回の記事で「腹筋を鍛えても腰痛が改善しないのは〝腹筋を姿勢の制御に使えていない〟から」と書きました。そして使えていない理由を「背筋ばかりに頼っている」からであると。

 

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 実はこの「背筋ばかりに頼っている」というのは仕方のないことなのです。それは人間が直立した姿勢を保つようになる前――四つ脚――であった頃からの宿命とも言えます。
 ここで少し話題を変えて四つ脚だった場合、背筋はどういう役割をしているのか考えてみましょう。
 四つ脚の場合、背骨は重力に対して水平になります。この時、背骨は肺などがある胸空と内臓が詰まってい腹腔を吊り下げる梁のような役割になります。
 そして背筋群はその梁(背骨)が内臓の重さでたわまないように、〝ワイヤーのように張る〟ことで体を支える役割を担っています。ちょうど、吊り橋のような形ですね。
 梁となった背骨を〝ワイヤーのように〟支える背筋。もっと言うと〝背骨を引っ張るような筋肉の使い方〟と書くとピンとくるものはないですか?
 そうです。前回書いた「伸筋(背筋)による〝引っ張る〟」という働きと同じです。

 もちろん状況(四つ脚と直立)は違いますから、まったく同じというわけではありません。四つ脚の場合は四本の脚によって重力を支えています。梁のような状態の背骨ですが、ちゃんと四つ脚という〝支柱〟があります。
 ですが直立している場合だと四本の支柱はありません。背骨の前後(頭側を前とした場合)に支えてくれる存在はないのです。
 あるのは背骨は骨盤(仙骨)と直接繋がっている関節部分のみ。骨格だけで考えると手のひらの上に棒を乗せてバランスをとっているようなものです。
 それを倒れないように支えているのは背骨に付随する背筋です。背筋が〝引っ張る(張る)〟ことで背骨を支える(姿勢を維持する)という点では、四つ脚だった頃も直立した後も共通しています。
 負担具合や細かい働きは違いますが〝引っ張ることで支える〟というのは同じです。背筋は背骨を引っ張るのが得意(四つ脚だったころからの主な役割)な筋肉なのです。
 ということは背骨の動きを支配しているのは背筋群ということになります。背骨に付いているのは背筋群なのですからよく考えれば当たり前の話です。しかしここで言う〝動き〟というのはなにも関節の可動の話だけではありません。
 お辞儀をしたときの上体の前傾維持。逆に体を反らした時の後傾維持。そのどちらも主に背筋群によって支配されています。
 つまり背骨が何らかの形で動くのであれば、それは常に背筋を使っているということになります。だからこそ「背筋に頼りすぎ」るというわけです。

 それではお待ちかね(?)の「姿勢の維持に腹筋を使う」方法とはどういうものなのか?
 腹筋の使い方と書くと、脚を引っかけて上体を起こす「シットアップ」や体を丸める「クランチ」などのいわゆる筋トレのような動きを想像される人も多いと思います。また、上で書いた「お辞儀をする」という動きは、腹筋によって上体を曲げるという働きがあるからできます。
 確かに腹筋は屈筋(文字通り〝曲げる〟ことに使われる筋肉)に分類されるので通常、腹筋を使うと言えば上体を曲げる動きになります。
 伸筋である背筋とは逆の動きですね。
 ですがここで言う〝使い方〟とはそういった動作のことではありません。姿勢に関してもお辞儀をしたりといった状態ではなく、普通の立ち姿のことを指します。
 では姿勢の制御に参加させるための腹筋の使い方とは……ズバリ腹圧をかける腹筋の使い方です。よく「お腹に力を入れる」と言われるアレです。
 腹圧は腹筋群の緊張によって高まります。腹圧の上昇=〝腹腔内部〟の内圧の上昇ということです。そして腹腔とはどの部分なのか?
 そうです。前回の記事で書いたように「腹直筋・内外の腹斜筋・腹横筋などの腹筋群と体の後ろにある腰方形筋を含む一周」が腹腔です。
 ……とここまで書けば勘の良い方は気づくと思います。
 腹筋を使って腹圧を高めることにより腰を含む腹腔周りがその影響を受けるのです。
 ということは腹筋を意識的に使うことで、腰の負担は減らすことができるということになります。
 ここで一つ実験をしてみましょう。

 1.何も考えずにお辞儀をしてみてください。角度は90°。
 2.次に一度起き上がります。そしてお腹に力を入れてみてください。この時おヘソに両手を当てそれを押し返すようにすると力が入りやすいかもしれません。
 3.お腹に力を入れた状態でお辞儀をしてみます。角度は今回も90°です。

 どうでしょう? なにもせずにお辞儀をした時とは違い、お腹に力を入れてお辞儀すると前で支えてくれる感覚はありませんか? もっと言うと腰側(背面)に膨らんだ感じがしませんでしたか?
 大事なのはこの「前で支えてくれる」という部分です。
 なにもせずにお辞儀をした場合、上体を支えてくれるのは背筋になります。背筋が〝引っ張って〟背骨が曲がるのを防いでいるんですね。
 それに対し、お腹に力を入れる=腹圧をかけることによってほぼ水平になった上体は内部から腹腔が膨らむことで支えられます。ピロピロ笛を吹いた時に、管が伸びてくれるのと同じです。
 すると背筋の背骨を〝引っ張る〟という負担を減らすことができます。いくら腹圧をかけてもゼロにはなりませんが、負担は確実に減ります。
 これは体を曲げた時だけの話ではありません。普段の姿勢(立ち姿)から腹圧をかけてあげれば、背筋の負担は少なくて済むのです。それは良い姿勢にも繋がります。
 でも日常的に腹圧をかけることを意識して生活するというのは、ナカナカ難しいですよね?
 しかし普通に人間が行っている〝あること〟を利用して、腹圧をかけるというクセをつけることができます。

 そのあることとは〝呼吸〟です。
 それも「○○呼吸法」のような特別なものではありません。ちょっとした〝コツ〟は必要ですが、良く聞く普通の呼吸の方法です。
 それがなんなのかは、次回に。

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