楽になるには"コツ"がある

広島県東広島市にある「すじと骨の けんびきや」のブログです。

腰痛には腹筋を鍛えると良いって聞いたけど、鍛えても腰痛が緩和されないって人いる?

「腹筋を鍛えてください」
 腰痛で病院や整体に行った時、こんなことを言われませんでしたか? そこで頑張って筋トレをして腰痛がなくなった(あるいは軽減した)という人もいれば、相変わらず腰が痛いという人もいるはずです。
 以前、うちに来られたお客さんで後者の方がいました。
 その方は40前後の男性で大学時代に腰を痛めたそうです。部活で少林寺拳法をしていたこともあり、その頃から筋トレはしっかりしていました。
 しかし今でも腹筋は鍛えているのに、未だに腰が痛いということでした。
 では腹筋を鍛えることは意味がないのかと言えばそんなことはありません。最初に書いた通り、実際に腹筋をすることで腰痛がなくなったり、軽減した方もいるのですから。
 腰痛というと実際に痛いのは腰なので背面ばかり気にしますが、実は前面(腹筋側)も含めて胴回りを一つとして考えるべきなのです。

 その考えを理解するにはまず人間は二本脚で直立している動物だということを思い出す必要があります。そして内臓などの疾患がない場合、腰痛の原因には姿勢が大きく関わってきます。
 人間の体を支えている――文字通り屋台骨となっている――のが骨格になります。更にその骨格を支えているのは筋肉です。
 その中でも直立している背骨を支えているのは背中にある脊柱起立筋と呼ばれる複数の筋肉です。
 人間は四つ足から直立した姿勢へと進化しました。その体を直立させるのに使った筋肉が主に体の背面に存在する筋肉なのです。

 もう一つ直立を保つために重要なのが、体の全面にある腹筋群(腹直筋・内外の腹斜筋・腹横筋など)です。
 四つ足であった頃、腹筋の主な仕事というのは腹腔に詰まった内臓を支えることでした。腹筋は多様な動きに対応し内臓を支えるわけですから、かなり強力な筋肉ということになります。
 これが二本足で直立することにより内臓の重さは骨盤と骨盤底筋(骨盤の下でお椀の底のように張っている筋肉)で支えることになり、強力な筋肉である腹筋は内臓を支えるという役割から解放されました。もちろん今でも内臓を支えることはありますが、四つ足の頃ほど重労働ではありません。
 また腹筋は肋骨の前面から側面にかけて骨盤と繋ぐ役割をしています。ちなみに体の後ろ側は腰方形筋と呼ばれる筋肉があって第12肋骨と骨盤を繋いでいます。
 これらの筋肉が腹腔をぐるりと囲み働くことにより上半身と下半身を連携させて、姿勢を保っているのです。

 背骨は骨盤(仙骨)と直接繋がっています。骨格(関節)として繋がっているのは後ろ側なんですね。
 だから上半身と下半身を繋ぐと考えると腰(後ろ側の背筋)ばかりが注目されがちですが、姿勢を維持するには実は腹筋も含めた胴周り(腹腔)が重要ということになってきます。
 内臓を支えることが主な仕事だった腹筋たちは、直立したことにより姿勢を維持する仕事へとジョブチェンジしたわけです。
 このことが何を意味するのか? 一般的にいい姿勢と呼ばれる状態を維持するためには背筋だけでなく腹筋の使い方も重要になってくるということです。
 以前けんびきやでは「骨格で立つ」ことが良い姿勢の条件の一つと以前書きましたが、その為には腹筋の協力も必要になってきます。そして腹筋を鍛えて姿勢が良くなればその分、背筋の負担は減ります。
 だから腹筋を鍛えることで腰痛がなくなったり、軽減したりするのです。

 ではなぜ、腹筋を鍛えたのに腰痛が良くならない人がいるのか? 理由は簡単。それは姿勢を維持するために腹筋を使えていないからです。
 実は重要なのは腹筋の「ある・なし」と言った量の問題ではなく姿勢の維持に「使えてるか・使えてないか」という質の問題になります。ですからいくら腹筋を鍛えようとも、腹筋を姿勢維持のために使えていなければ腰痛は根本的な改善しません。
 そこでどういった使い方をすれば姿勢の維持になっているのか……の前に「なぜ使えないのか」を知っておく必要があります。
 「そんなの使い方を知らないからじゃないの?」と思ったアナタ。確かにそれは正しいです。しかし理由を知っていれば「なぜこのような腹筋の使い方をすると良いのか」といった理解も深まります。

 その理由をごくごく簡単に言ってしまえば「背筋ばかりに頼っている」からになります。
 上で『直立している背骨を支えているのは背中にある脊柱起立筋と呼ばれる複数の筋肉です。』と書いたように、直立している人間を支えているのに主に活躍しているのは背骨に関与している背筋たちです。
 直立に進化する前の人間は四つ脚に近い姿勢でした。そこから直立するために背筋によって、背骨を直立できるまで〝引っ張った〟からだとも言えます。
 この体の背面に存在する背筋は伸筋と呼ばれています。伸筋とは文字通り「伸ばす」ために使う筋肉になります。「背筋を伸ばす」のに使う筋肉と言うと分かりやすいでしょうか。
 キーワードはこの伸筋による〝引っ張る〟という働き。
 〝引っ張る〟ことがなぜ「背筋ばかりに頼っている」ことに繋がるのかは次回に。

 ━━━━━━━━━━━━━━‥……・・・

    日本古来の手技療法でサポート
    腰痛 ・五十肩・アトピー・うつ病
       東広島で整体
     すじと骨の けんびきや

 ・・・‥……━━━━━━━━━━━━━━