楽になるには"コツ"がある

広島県東広島市にある「すじと骨の けんびきや」のブログです。

〝じゃない方〟の療法家

「動かしてみてください」
「首が回る。肩も動く。軽い」
「違和感や痛みはないですか?」
「はい。でも肩を回すと音がします」

 腰・脚。肩首周り。頭部調整まで終えた後など。部位ごとに施術が終わると確認をしてもらうのがけんびきやのやり方です。
 するとこの会話のように、調整前は音がしなかったのに、調整後に音がし始めることがあります。
 そんな時は次のように訊きます。
「動かして音がした瞬間、痛みはありますか?」
 「はい」と答えが返ってくれば再調整。
 「いいえ」なら次のように説明します。

「音がしても痛みがなければ大丈夫です。調整後に音がするのは余計な緊張が解け、関節の可動域が広がったからです。動かしているとそのうちに馴染んで音がしなくなるか、小さくなります」
 そしてこう続けます。
「もちろん、可動域が広がった上で音がしないのが最善です。ですが筋肉が緊張して動きが小さくなって音がしないよりは、緊張が解けて音がした方がまだいいです。
 但し、音がした瞬間に痛みがあれば別です」

 骨の各パーツは精密に出来ています。しかしそれを繋ぐ関節には〝遊び〟もあります。ちょっとくらい動きがおかしくても、関節の働きが損なわれることはないのです。
 それがヒト(というか生物)の良いところでもあり悪いところでもあるのです。
 良いところはその柔軟性です。工業機械製品であれば、設計と1mm以下でも違うパーツが出来るだけで上手く組み合わせることはできません。また、たった一カ所の問題で製品としてちゃんと動作しなくなります。

 ですがヒトであれば他の場所でカバーすることによって目的を果たそうとします。
 例えば手を挙げる動作。腕・肩の各関節に問題がなければ自然に挙げることができます。しかし肩や肘などに問題があってそのままでは挙げることができない場合、体を傾けて手を挙げようとします。
 これは手を頭より高く挙げるという〝目的〟に対し、通常の方法ではその目的が叶わない場合に体の他の部分を使って目的を果たしているからです。
 この働きを代償運動と言います。

 そうやって他のところでカバーできてしまう柔軟性は、逆に言えば「無理が利く」ともとれます。それが悪いところです。
 「まだ大丈夫」と無理を続けた結果、もっとひどい故障に繋がってしまうからです。
 この無理をしているというのが調整前の「筋肉が緊張して動きが小さくなって音がしない」状態です。これは動きが柔軟でないとも言えます。
 動きが柔軟でないと怪我をしやすくなるというのは、前回の『意識で変わるカラダ』に書いたとおりです。

 

kenbikiya.hateblo.jp

 では「緊張が解けて音がした方」は無理がまったくない状態なのかと言うと、残念ながらそうではありません。「可動域が広がった上で音がしないのが最善」と言っているように、最善ではないが大きな問題に発展しにくい状態です。
 痛みなく音がしているということは、骨であったり腱であったりが少し余分な動きをしています。ですがその〝少し余分な動き〟というのは、関節各部の無理な状態を上手く受け流しているから起こる動きです。

 ヒトの体というのは工業機械製品のようにはいきません。問題のある部分のパーツを取り替えてめでたしめでたし――とはいかないのです。その変わりに自己治癒(自己修復する)力が備わっています。
 そして「筋肉が緊張して動きが小さくなって音がしない」状態よりも、「緊張が解けて音がする」状態の方が自己治癒力の働きは大きくなります。だから最善ではないが大きな問題に発展しにくい状態なのです。

 よく勘違いされるお客さんがいらっしゃいますが、治してる(敢えてこう言います)のは私たち施術する側ではなくご自身なのです。私たちにできるのは、体が治るのを邪魔している要素を取り除くことだけ。それによって最大限に自己治癒力が働ける状態を作ってあげることです。
 例えば腰痛にせよ五十肩にせよ、痛みを感じて動きに制限がある状態では自己治癒力も働きにくいです。そこで痛みを取り、あるいは動きの制限をなくしてあげることで体は本来の働きができるようになります。

 いきなり最終的な結果だけを求めている人間は多いです。これはお客さんだけでなく施術をする側もそうです。
 魔法のように、どんな症状も一度でアッというまに治ってしまう方法。手術しかないと言われた状況を覆し、手術を回避させる方法。確かにそういうのをウリにしている所もあります。

 残念ながらウチは違います。
 「筋肉が緊張して動きが小さくなって音がしない」から「緊張が解けて音がする」へと変わり、やがて「可動域が広がった上で音がしない」へと至る。そうやって段階を追うことで改善していきます。
 ちなみにウチでも手術を回避したという例はあります。しかしそれは魔法でも奇跡でもなく「良くなっていくための積み重ね」をしたからです。

 けんびきやは派手な宣伝はしていません。魔法も奇跡も謳っていません。
 ですがお客さんの体としっかり向き合い、「良くなっていくための積み重ね」をしてもらえるように日々施術をしています。

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