体のメンテナンスとは〝気にする〟こと。そして〝自分の体を大事にする〟ということ。

「体のメンテナンスの為にも通った方がいいんですよね？」
　こう訊ねてくるお客さんがたまにいらっしゃいます。そんな時は私は決まってこう答えます。
「確かに定期的通っていただくのが理想です。でもそれ以前に大事なことがあります。それは――」

　――あ、いきなり「お客さん」だの「体のメンテナンス」だの言っても「？」ですよね？
　うちは整体のお店です。なのでこの会話のお客さんは整体を受けに来たお客さん。「体のメンテナンス」は文字通りの「メンテナンス＝建物や機械の維持・保守」の建物・機械の部分を〝体〟に変えた意味です。
　では、整体のお店のお客というとどんな人を思い浮かべますか？　腰痛(ぎっくり腰)？　五十肩？　肩こり？　とっさに思いつくのはこんなもんでしょうか。
　実際、うちのお店に来るお客さんの多くはそういった症状です。
　なので、冒頭のセリフは特定の誰かが言ったものではありませんし、特定の症状の方が言ったセリフでもありません。
　色々なお客さんが言ったセリフであり、誰でも言う可能性のあるセリフです。
　そういった人たちに私が言うのが次の言葉です。

「確かに定期的通っていただくのが理想です。でもそれ以前に大事なことがあります。それはまず、自分の体を〝気にする〟ことです」
　合わせてこうも言います。
「実は体のメンテナンスって誰もが必ずやっているんです。お風呂って入りますよね？　顔も洗いますよね？　そして歯も磨く。これって立派な体のメンテナンスなんです」

　「体のメンテナンス」という言葉だけ聞くと「何か特別なこと」をしてるように思えますよね。
　例えばジムに通って運動してみたり、うちのような整体に通ってみたり。あるいはエステに行ってみたり。
　でも違うんです。体のメンテナンスなんて、みなさんいつもやっているのです。そして普段やってる体のメンテナンスの中に、自分の体を〝気にする〟という大事なことが含まれています。
　少し考えて見てください。
　お風呂に入るのは汗をかいたり、体が汚れてるのが気になるからですよね？　歯を磨くのは口内環境を気にしてるから。美容院に行くのだって体のメンテナンスになります。だって髪型が気になるから美容院に行く訳ですから。
　そう考えると「これは体のメンテナンスである」と意識して行う「何か特別なこと」にも〝気にする〟という共通項を見いだすことができます。
　ジムに通って運動するのは運動不足が気になるから。整体に通うのは痛みや疲れが気になるから。エステに行くのは見た目が気になるから……等々。
　実は、自分の体を〝気にする〟というのが体のメンテナンスの第一歩であり、基本なのです。

　そして〝気にする〟ことで今度は〝気づく〟ことができます。それは「ちょっと○○が痛いな」などの体の異変だったり、逆に「今日はなんか調子が良いぞ」という良いことだったり。
　体のちょっとした(良くも悪くも)変化に気づくことができるようになります。
　体というのは必ず何らかのサインを出しています。それが良いモノであれ悪いモノであれ〝気づく〟ことで体をメンテナンスするという行動を起こすことができます。
　その為にはまず、自分の体を気にすることです。

　冒頭の例で言えば「そうですね。定期的に通ってもらうと良い状態を維持できます」だけで済ますことも可能です。そう言うと「では通います」という方は多いのですが、実際に通われる方ははっきり言って希です。
　私がリピーターを得るための為のセールストークをしていないのも理由の一つです。
　ですがそういった小細工以前に自分の体を気にするということを日常的にできていないというのが大きいと私は考えています。
　なぜなら、体が悪くなるとまた私のお店にやってくるからです。
　痛みというサインが出るまでに、寝ても疲れがとれないなど別のサインを必ず体は出しています。でも普段から自分の体を気にしていないので、痛みという明確なサインが出るまで気づかない。
　いえ、疲れているということには気づいているのでしょう。ですが、それをサインだとは思わないんですね。だって疲れていても体は動かせる＝日常生活は送れるから。

　私のブログでは決まり文句ですが「普通に体を動かすことができて、日常生活を支障なく送れるという当たり前はホントに凄いこと」なのです。
　それに気づいていない人は多いです。
　よく「病気をして初めて健康の有り難さが分かる」なんて言いますよね？　「失って気づくことがある」なんて言うとちょっと格好いいですが、失う前に気づくことだって出来るはずです。
　そして気づけば行動することができる。
　だから――

　少しだけ自分の体を気にしてみませんか？
　何か特別なことをしようと思う前に、もっと気軽に。自分の体を大切な家族だと思って気にしてあげてください。
　それが体をメンテナンスすることの基本になります。
　きっと、気づくことがあるはずです。見えてくるものがあるはずです。体が望むものがあるはずです。
　そうしたら行動してみてください。

　けんびきやは当たり前に気づき、自分の体と真摯に向き合う方を応援しています。

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