楽になるには"コツ"がある

広島県東広島市にある「すじと骨の けんびきや」のブログです。

長時間歩いていると首が痛くなるけどこれって……

「ウォーキングしているんですけど、長時間歩くと首が痛くなるんですよ」

 帰り際にお客さんからこんな相談(?)をされました。
 確かにこの方は首周りが固く、また背中(胸椎中部)が固いなと施術をしていて思っていました。
 では、首~肩の堅さに原因があるから、長時間のウォーキングでそのような症状になるのでしょうか?
 もちろん、まったく首や肩周りに原因がないとは言えません。しかし私が最初に思いついた原因は〝歩き方〟でした。
 なので店の中を少し歩いてもらいました。すると予想どおりの歩き方。

 どんな歩き方なのかと言うと「踵を〝ついて〟歩いていた」んですね。え? 当たり前だろうって? 
 では、こう書くとどうでしょうか。「踵を〝突いて〟歩いていました」
 まだピンと来ない人にはこの表現ではどうでしょうか?
 「踵〝で突いて〟歩いていました」
 これはパッと見、歩き方としては普通に踵〝から〟〝着いて〟歩いているのですが、まるで踵を地面に食い込ませるように(突くように)歩いているのです。
 ですから本人は特に踏み込んでいるつもりはないのに、足音が響く場所であればドシンドシンと重い音がします。靴を履いていれば靴底がクッションになるのでさほど気にならないのですが、素足(もしくは靴下のみ)で室内を歩く時は音が出るのでよくわかります。
 ではなぜ踵を〝突いて〟歩くことが今回の「長時間歩くと首が痛くなる」に繋がるのでしょうか?
 理由は単純で、着地の衝撃がそのまま脳へと伝わるからです。正確には膝もあるし股関節もあるし、背骨のアーチもあるし……で衝撃を緩衝する場所はたくさんあるので、そのままと言うのは言い過ぎです。
 でも、通常の歩き方よりも体に負担が掛かることは間違いないです。
 更にはこの方は背も高く体も大きい。いわゆる巨漢です。それも(少々失礼な言い方ですが)脂肪の多いタイプの巨漢です。
 確認はしていませんが体重もそれなりにあるでしょう。

 これが「踵〝から〟〝着いて〟」足先へとスムーズに体重移動ができていれば、また結果は違います。しかし「踵〝で突いて〟歩いた」場合は、常に体重+移動の衝撃を真っ正面から受けて歩いていることになります。
 こうした歩き方で多い故障は足や膝と言った箇所なのですが、この方は長時間のウォーキングで首周りに出たのでしょう。
 衝撃に耐えるために首~肩は強ばり、それを長時間続けることで痛みが出る。あるいは暖冬とはいえ今は寒い時期です。ただでさえ体は強ばります。その状態で強い衝撃を受け続ければ、疲労も普段より大きいでしょう。

 もちろん別の原因だってあったでしょう。人の体は複雑です。
 施術も終えたあとでしたので、今回は簡単なチェックのみでした。でも店内だけでなく少し長い距離を歩いてもらったりして歩き方(姿勢を含む)をみれば他にも気づくことはあったでしょう。
 ですが今回は、歩き方を変えるか、ウォーキングの時はクッション性の高い靴に替えるかという提案をしました。

 ウォーキングにしろランニングにしろ、靴選びが大事というのはよく言われていることだと思います。
 そして歩き方も。スタンダードなのは「踵〝から〟〝着いて〟足先へとスムーズに体重移動」する歩き方ですよね。
 しかし、けんびきやでは別の歩き方を推奨しています。キーワードはすり足と大腰筋。
 ちなみに「踵〝で突く〟」歩き方をしている方は、足の指が上手く使えていない場合が多いです。指で地面を掴むのが苦手な方が多い。
 そのあたりの事も含めて、次回に。

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【修正・再編】ケンビキいろいろ

※今回は移行前のブログ(現在は非公開)に書いていた記事を修正・再編したものとなります。
※諸事情により「○引き療法」は正表記ではなく伏せ字としてあります。
※その他いくつかも伏せ字にさせていただいています。

 さて、今回は「ケンビキ」について色々と書いてみたいと思います。
 けんびきやでは20202月現在、「○引き療法」と「讃岐骨法」という二つの手技を提供(※20209月より讃岐骨法」を軸として補助で「手技による筋肉の調整」を提供)しています。
 「○引き療法」は「ケ○ビキリ○ウホウ」と読みますので、「ケンビキ」=「○引き」のことを書くのかというと……それだけではありません。
 今回はそれに合わせて「けんびき」についても書きます。
 え? 何か違うのかって?
 それがね、違うんです。漢字で書いた「○引き」とひらがな表記してる「けんびき」って。

 まず「○引き」ですが、これは柳生○眼流という武術流派の活法が元と言われています。その「○引き」の中から現代の状況に合わせて整理、あるいは新たに加えられた技術体系を合わせて「○引き療法」と呼びます。
 現在は「○整流法○会」で継承されています。
 「○引き療法」が表に出てきたのは2010年になります。BABジャパンから発行された『○引き療法入門』が出た年です。もう十年経つんですね。それまでは静岡と山梨を中心に一部の人間にしかしか知られていない技術でした。
 一部の〝地域〟ではなく〝人間〟と書いたのには理由があります。
 実は、広島でもこの「○引き」と同じと思われる施術を受けてた人がいたからです。その方は知り合いの会社の社長さんが山梨から先生を広島に呼んでいた、と話していました。
 遠く離れた地域であってもわざわざ呼んでくるということはしていたようなので、まさしく「知る人ぞ知る」類のものだったのでしょう。

 ちなみに「○引き」は「筋○き」(スジビキ)という言い方をする場合もあります。面白いのはこの〝スジビキ〟であれば広島でもやっていた人がいたかもしれない……ということです。
 以前、お客さんに実家がお寺だったという方がいらっしゃいました。その方が子供の頃(60年近く前)、父親である住職さんに「〝スジビキ〟をするので人を集めてもらえないか」とお願いしに来た人がいたらしいのです。
 残念ながらこの〝スジビキ〟が「○引き」と同じ「筋○き」であるかは分かりません。ですが60年近く前には〝スジビキ〟をやる人が広島にもいたことになります。
 「○引き」は武術流派の活法が元になると書いたのですが、実は広島は古くからある武術流派が結構残っていたりします。かく言う私も広島の坂町に伝わる「渋川一流」という流派を車地善光先生より習っていた事があります。現在は離れてしまいましたが。
 活法の内容は流派ごとに違いますし、その流派の秘伝となります。ですが活法まで継承している流派なら同種のもや、名前が似たものがあっても不思議ではありません。
 件の〝スジビキ〟をする人もどこかの武術流派を修めた人だったのかもしれませんね。

 「○引き」についてはこのくらいにしますが、もっと色々知りたいという方は「○整流法○会」の方へ問い合わせてみてください。或いはお近くに筋整流法の道場があればそちらへお尋ねになるのも良いかと思います。
 定期的に説明会を開いているところも確かあったハズです。興味を持たれた場合は「○整流法○会」ならびに各道場へどうぞ。

 では次に「けんびき」についてです。
 ひらなが表記で「けんびき」とした場合、いくつかの意味が出てきます。「○引き」のような固有名詞ではなくなるんですね。
 「けんびき」という言葉が一番よく知られているのは香川県と山陰の一部地域です。
 そうです。「けんびき」とは方言なんですね。
 また、「香川県と山陰の一部地域」という離れた地域で同じ方言になっているのには「丸亀では石州(石見銀山)出身の按摩師が多くけんびきは共通語でした」という説があります。

 方言としての「けんびき」は部位で言えば、肩甲骨の間のことを言う場合が多いです。その部分がだるいと「けんびきが凝った」などという言い方をします。他には頸から肩にかけての部位も言うこともあります。
 要は(地域や人によりますが)首から肩周り全部を示すんですね。
 さらにはそこから転じて「けんびきが凝った」状態で起こる症状そのものまで「けんびき」という言い方をする場合もあります。
 たとえば〝咳〟がでれば「けんびきかぜ(けんびきせき)」。〝口内炎〟ができれば「けんびきができた」。果ては〝目のけいれん〟や〝ものもらい〟まで。地域によっては体の状態が「けんびき」のひと言で全部通じてしまうんです。それくらい「けんびき」と言う言葉はその地域に浸透していたんですね。
 面白いのは「けんぺき」が訛ったものが「けんびき」になったという話があることです。「けんぺき」は「痃癖・肩癖」と書き、方言の「けんびき」とほぼ同義になります。

 そして「讃岐骨法」にも「けんびき」という言葉が出てきます。
 けんびきやで提供している「讃岐骨法」は「丸亀骨師堂けんびきや」の立石先生のものです。ちなみに「讃岐骨法」も武術の活法由来と言われています。
 「讃岐骨法」は明治時代には「天下無双体術」と名乗っていました。これは武術としてではなく整体術としてですが、武術的な技も立石先生は知っているようです。一度見せてもらった技は捕手術のような感じでしたので、名前からして天下無双流の系統なのかもしれません。

 ところで、ここで「おや?」って思った方います? 「丸亀骨師堂けんびきや」は「けんびき」が方言として伝わった丸亀(香川)にあるんだ……って。
 ということは「讃岐骨法」で使う「けんびき」も方言としての「けんびき」とまったく同じなのかというと……少し違います。
 「讃岐骨法」では〝背骨〟の両脇にある筋(スジ)を「後ろけんびき」と言います。わざわざ「後ろ」と言うからには「前」はあるのか?
 はい。「後ろけんびき」の他にも「前けんびき」と「横けんびき」があります。
 これは「讃岐骨法」独自の体の捉えになります。また、背骨の捉え方も独特です。
 「讃岐骨法」では背骨を頸椎・胸椎・腰椎の7・12・5ではなく7・7・5・5のように胸椎の十二本を分けて考えます。
 この背骨と後ろけんびきという体の捉え方が「讃岐骨法」の施術のポイントの一つになります。

 こうした体の捉え方は「○引き療法」にはありません。少なくとも私の学んだ段階ではそうです。
 つまり同じ「ケンビキ」という響きの言葉を使っているのに「讃岐骨法」と「○引き療法」は考え方が全く違うのです。
 これってちょっと面白いと思いません? 「ケンビキ」と言う言葉が体の部位や症状を示すこともあれば、全く違う技術のことを言っている場合もあるってことになります。
 日本語は同音異義語の多い言語です。同じ音の響きでも、その言葉が意味するものはまったく違っていたりします。
 個人的にはそれ故に、言霊が強く働く言語なのではないかな、と思うのです。
 言葉はホント面白い。
 もし他の〝ケンビキ〟を知ってるって方がいたら、こっそり私に教えてください()

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膝が痛いと思ったらむくんでいた件

 ・歩く(体重を乗せると)と膝が痛い。
 ・曲げると膝が痛い。
 ・伸ばすと膝が痛い。
 ・捻ると膝が痛い。
 ・なにもしなくても膝が痛い。

 「膝が痛い」という症状でも痛みを感じる動作にパターンがあります。更に同じ動作で痛みが出ても「膝上(あるいは膝下)が痛い」「外側(もしくは内側)が痛い」「膝裏が痛い」などのように痛い場所が違う場合もあります。
 そんなとき、原因としてまず最初に思いつくのは関節構造の問題ではないでしょうか。骨そのものに異常がないか? 靱帯などの関節構造に問題はないか?
 病院であればレントゲンやMRIなどで確認し、画像診断で出てくる明確な異常があればそれが原因である可能性が高いです。
 あるいはレントゲンを撮るまでもなく、膝関節の周りが腫れているなど見た目で確認できる場合もあります。
 打撲や捻ったなどの外傷で腫れる場合や、「膝に水が溜まった」ことで腫れている場合などです。

 けんびきやでは「骨や靱帯そのものに異常がない」事が分かっていれば、施術をすることで膝関節の痛みを改善します。
 施術の主な目的はバランスの調整です。それは膝関節周りの筋肉のバランスであったり、足首や股関節など膝関節から離れた場所のバランスであったり様々です。結果として症状が膝関節部分に出ていても、その原因となる箇所は膝周りではないこともあるからです。
 最終的に膝に負担の来ない本来のバランスになるよう調整します。
 あるいは「膝に水が溜まった」状態であれば〝流す〟という方法で調整します。病院であれば注射器などで「水を抜く」というのをしますが、けんびきやは整体のお店ですのでそういったことはできません。
 代わりに施術によって溜まった体液(膝の場合は過剰に供給された潤滑液)を流します。

 多くの場合はこれで改善しますが、希に関節周りのバランスはそれほど悪くないのに膝の痛みがなかなか良くならないというケースがあります。
 その一つが「脚のむくみ」からくる膝の痛みです。
 「膝に水が溜まる」のと何が違うの? という声も聞こえそうですが、膝に水が溜まっている場合は膝関節そのものに何らかの負担がかかっているから起こる症状です。
 「脚のむくみ」の場合は膝関節には大きな問題はありません。正確にはむくみによって関節周りのバランスは崩れていますが、関節そのものに問題が起こっていることは少ないです。もちろん関節周りのバランスが崩れた状態を長く放置すれば、いずれは膝関節が炎症などの問題を起こすでしょう。

 ではそもそもむくみとはどんな症状なのでしょう?
 むくみとは通常、細胞と細胞の間の水(組織間液)が異常に増加した状態を言います。組織間液は毛細血管が運んできた酸素や栄養を細胞に届けます。また二酸化炭素や老廃物を毛細血管に戻すはたらきがあります。
 この時、栄養を持った組織間液は毛細血管からしみ出し、老廃物を持った組織間液は毛細血管へと戻っていきます。ですがこの「毛細血管へと戻る」という作用が滞ることがあります。出て行く分量と戻る分量のバランスが崩れてしまうんですね。それが組織間液の増加であり、むくみという現象です。
 バランスが崩れる原因は様々です。
 動かない(仕事で一日中立ちっぱなし or 座りっぱなし)ことで、脚の筋肉のポンプ作用が働かず循環が悪くなるケース。薬の副作用によるもの。病気によるもの……などなど。

 こういったむくみからくる膝の痛みの場合けんびきやではどのように対処しているのか? 基本的な考え方は「膝に水が溜まった」時と同じように〝流す〟です。脚全体を軽く摩擦する(さする)ことで組織間液を流してむくみをとっていきます。
 すると膝の痛みは改善されます。
 しかしむくみの原因を直接取り除いているわけではないので、また同じように痛くなるという可能性はあります。平行してむくみの原因に対して有効と思われる施術もしますが、原因によってはうちの施術の領分ではない場合もあります。
 ですのでけんびきやでは施術をしたあとに、ケアの方法や予防方法を必ず教えるようにしています。そして予防方法をちゃんと実践してもなかなか解消されない場合は、病院などで一度検査することを勧めています。

 予防方法に関しては主に脚を使った運動を指導しています。単純に脚を動かす(足踏みや踵上げ)ものから、足の指を動かす(スパイラル運動)などです。
 ケアの方法としては施術と同じように脚全体を、自分で軽く摩擦する(さする)ことを指導します。
 ちなみに、脚のむくみをとる方法として一般的なのは鼠径部のリンパ節へ向かって押し出すというものですよね。いわゆるリンパマッサージというやつです。
 ですが、けんびきやではさする時に方向を特に指定していません。方向にこだわる方もみかけますが、お店を7年間やって色々なお客さんへ施術してきた感想としては「どちらでもいい」です。
 それは、さする(マッサージする)ことが大事なのであって、方向ではないと考えているからです。ですから私は施術では末端に向かってさすることもします。その結果、足のむくみが酷くなった……ということも今までありません。
 むくみが酷い人は軽い力でさすっても痛がります。それでもしっかり〝流して〟あげればその後はすごく楽になります。

 六年前の記事ですが、〝むくみ〟を膝の痛みの原因のひとつとして考えるきっかけとなった事例です。

※現在非公開

 この記事のお客さんは教えたケアを続けることで、痛みなく歩けるようになり、ごく短い距離ですが小走り程度ならできるくらいまで回復されました。
 どこに行ってもなかなか良くならない。
 そんな悩みをお持ちでしたら、一度けんびきやを訪ねてみてください。あなたの力になれるかもしれません。

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【ひとりごと】珍獣じゃないんだからさぁ

 療術というこの業界の宣伝合戦には、昔から色々と思うところがある。
 色々……と書くからには当然いくつかあるわけだけど、その一つが次のような謳い文句を見た時だ。

「当店では珍しい○○という手技を使っています」

 文言の違いはあれど、たまに見かける謳い文句になる。要は「うちでしている施術方法(手技であれ機械であれ)は〝珍しい〟方法で他にはなかなかないですよ」ということが主張したいらしい。
 正直「だから?」と思う。
 これとセットでよくあるのが「□□(地域名)初」や「日本では唯一」みたいなキャッチコピー。
 この「特定の地域・場所」でしか受けることができない施術というのは、確かに一つのウリになる。だがそれは珍しい〝以外〟の付加価値があるからこそだ。

 例えば「○○という手技」は「ギックリ腰を1回の施術で普通に歩けるようにします」というものだったとする。
 そうなると「○○という手技」には「ギックリ腰に強い」という付加価値ができる。その上で「○○という手技」がまだ普及していなければ「〝ギックリ腰に強い○○という手技〟をウチでは提供しています。そしてこの地域で〝○○という手技〟が受けられるのはウチだけです」という〝珍しさ〟を強調したウリが成立する。

 これが芸術や美術などのアーティスティックなモノであれば話は別だ。こういったものは唯一無二という希少性そのものが一つのウリになる。もしくは珍獣など存在そのものが希少な場合。これはもう「自分の管理する場所に〝居る〟」ことが一つのステータスにすらなる。
 だが療術という業種は違う……と僕は考えている。
 〝珍しい〟という〝だけ〟ではハッキリ言って意味はない。マイナーな技術やオリジナルの技術が「知られていない」ことや「普及していない」から〝珍しい〟のでは、それのみを価値とするのは難しい。
 だからこそ「ビフォア・アフター」の写真や「施術の効果を示した動画」などを載せ、この技術は(特定の症状はもちろん、不調全般にも)〝効く〟という付加価値をアピールするのだ。
 それでもとりあえず珍しければ集客できる……と考えている人は一定数いる。こういう人の特徴としては次から次へと新しい(珍しい)技術に手を出していくとこだ。中には資格や技術のコレクターになってる人もいる。
 もちろん必要だと思った技術や資格なら、結果として沢山もってしまっても構わないと思う。しかし「一つのモノをやり切った結果、足りない部分を補うために他のモノが必要と思って手を出す」のと、ただ「新しい(珍しい)から早い内に色々と手をつけておく」というのは違う。
 後者はどれも中途半端に終わる。結果、その技術が持つ本来の素晴らしさを再現できていないことが多い。

 有名な経営戦略論に「ブルー・オーシャン戦略」というのがある。
 ブルー・オーシャンとは「競合相手がいない市場・業界・分野」のことだ。逆に「競合相手が多い市場・業界・分野」のことをレッド・オーシャンと言う。
 ブルー・オーシャン戦略とはレッド・オーシャンで戦うのではなく、ブルー・オーシャンを目指して新規開拓していくべきだというものになる。
 そういう考え方でいくのならこの業界でも〝珍しい〟を全面に打ち出すのは間違ってない……と思われがちだ。だけど少し考えてみて欲しい。上にも書いているようにその珍しさに〝珍しい以外の付加価値〟が存在しているのか、ということを。
 もっと言うとその店の主張している〝珍しさ〟には、施術を受ける側に「知られていない施術を受けた」以外のメリット(困っていた症状が改善する。健康を維持していく上で有用……など)があるのか、を。
 それがなければ〝珍しい〟は決してウリにはできないし、お金を払ってまで行く意味がない。そして払う価値がなければ、いくら競合相手がいなくても〝市場〟にはならない。

 ……なんて偉そうなことを書いてはいるが僕は別にマーケッターではないし、この業界で目立った成功もしていない。
 ようするにただの戯言だ(笑) もともとタイトルに【ひとりごと】とつけている時は、僕が好き勝手に言いたいことを書いている時だしね。
 でもまぁ、うちはこんな考えをもつ人間がやっているという宣伝(?)くらいにはなるんじゃないかと思っている。

 技術に関しては標準以上のモノは持っているという自負はある。
 だからホームページなりこのブログなりを読んでみて、僕の施術に対する考え方。あるいは、人となりを知って貰えればいい。そしてピンとくるものがあれば、ぜひ施術を受けに来て欲しいと思う。
 多分ピンと来た人は「自分の体と真摯に向き合うことのできる人」だ。

 そして僕は「自分の体と真摯に向き合うことのできる人」を応援する。

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逆腹式呼吸、かなり有能説。

 前回の続きから。
 今回は逆複式呼吸をオススメする理由になります。
 ここ数回分の記事と合わせての内容になりますので、まだ読まれてない方はリンク先の記事を読んでみてください。

kenbikiya.hateblo.jp

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 さて、前回の最後にけんびきやで指導する逆腹式呼吸のやり方を書きました。

 1.まず、息を吐き切ります。
 2.息を吸います。この時、お腹に力をいれてへこませて(引っ込めて)ください。お腹の上部(みぞおち)をへこませるイメージです。
 3.息を吐きます。この時、お腹の上部(みぞおち)をへこませたまま、締めるように力を入れてください。そして上腹部に入れた力を下腹部に落とすイメージで、下腹部を膨らませます。それが分かりにくければ、下腹部を両手で押さえてその手を押し返すイメージです。

 この方法だと、たぶん世間一般に言われている逆腹式呼吸とは違う部分があると思います。その違う部分が「ちょっとした〝コツ〟」になります。それがどこか分かりますか?
 そうです。息を吐くときに「お腹の上部(みぞおち)をへこませたまま、締めるように力を入れてください。」という部分です。
 ここで呼吸について簡単に復習しましょう。前回の記事の中で『吸気は筋肉の収縮によって胸郭を広げますが、呼気は筋肉の弛緩によるものなので肺の弾性のみで行われ通常は筋力を必要としません。』と書きました。
 この時、吸気(吸う)時に起こる胸郭(肺のある空間)が広がる現象は、横隔膜と外肋間筋(肋骨の間にある筋肉)の収縮の収縮によって起こります。これによって肺が膨らみ空気を吸い込みます。
 そして呼気(吐く)時は横隔膜と外肋間筋(肋骨の間にある筋肉)が弛緩することで胸郭が狭くなりますが、この時に膨らんだ肺は元の大きさに戻ります。それは空間が狭くなるからというよりも、肺のもつ弾性(伸び縮みする力)によって元の大きさに戻ります。すると肺の大きさが小さくなり、中の空気(主に二酸化炭素)が吐き出されます。
 だから普通に呼吸をしていて息を吐く時には筋力を必要としません。
 つまり、逆腹式呼吸であっても呼気(吐く)時に「力を入れる」必要はないのです。実際、逆腹式呼吸のやり方を調べても「吸うときにお腹をへこませて、吐くときにお腹を膨らませる」と説明している所が多いと思います。
 けんびきやでは最後に「下腹部を膨らませる」とは言ってますが、腹筋そのものには力を入れてもらうように指導しているので目に見えて大きく膨らむということはありません。

 ではなぜこのように指導しているのかと言うと、常に腹圧をかけてもらうためです。
 逆腹式呼吸では吸気(吸う)時にお腹に力を入れてへこませることで腹圧をかけます。そして呼気(吐く)時にも腹筋に力を入れてもらうよう指導することで腹圧をかけています。
 腹圧の重要性については『おい腹筋と背筋、もうお前たち付き合っちゃえよ! 内から支えることの重要性。』で次のように書いています。

 腹筋を使って腹圧を高めることにより腰を含む腹腔周りがその影響を受けるのです。
 ということは腹筋を意識的に使うことで、腰の負担は減らすことができるということになります。

 しかし腰痛の予防になると言っても、日常生活の中で常に腹圧をかけて生活をするというのはなかなか難しいです。そこで「普段から行っている呼吸の中に腹圧と言う要素を組み込んでもらう」ためにけんびきやでは、呼気(吐く)でも吸気(吸う)でも腹圧をかけることのできる〝逆腹式呼吸〟を勧めているのです。
 ……と書くと〝腹式呼吸〟や〝胸式呼吸〟じゃダメなの? って思う方もいると思います。
 ではここで腹式呼吸と胸式呼吸について、簡単におさらいしてみましょう。

 腹式呼吸はご存じの方も多いと思いますが、吸うときにお腹を膨らませる呼吸法です。
 ここで勘違いしてはいけないのは〝腹式〟呼吸だからと言って、お腹で呼吸しているわけではないということです。どの呼吸法にも言えることですが、呼吸の主役はあくまで横隔膜です。
 息を吸った時にお腹が膨らむのは腹筋を使ってお腹を膨らませているからではありません。横隔膜が下がるという動きがお腹に伝わっているから膨らむのです。
 むしろ腹筋は緩んでいます。
 「でも、息を吸うときに〝お腹を膨らませて〟って言うのに?」と思ったアナタ、なかなか鋭い。
 お腹を使わないのに膨らませるというのはどういうことなのか? それは腹筋を意識的に緩めると言い換えることもできます。
 腹式でなくとも呼吸をする以上、お腹というのは多かれ少なかれ膨らんだり縮んだりしています。それは意識しない呼吸(通常行われる安静呼吸)の時も同じということです。呼吸は横隔膜の働きである以上避けては通れない事象なのです。

 では意識しない呼吸であってもお腹が膨らむ(腹筋が緩んでいる)のに、わざわざ腹式でお腹を膨らませる意味はあるのか?
 ここで一つ実験をしてみましょう。

 ・お腹を引っ込めてみてください。お腹を膨らませる話をしているのに引っ込めると思った方も、まずお腹を引っ込めてみてください。
 ・次にその状態から今度はお腹を膨らませてください。

 みなさんは、どうやってお腹を引っ込めました? 多分、殆どの方はお腹に力を入れて引っ込めたはずです。
 逆にお腹を膨らませる時はどうでしたか? 多分、殆どの方はお腹の力を抜いたと思います。
 お腹を引っ込める事と膨らませる事。真逆のことをしているのに共通点が一つあります。それが何か分かりますか?
 そうです。どちらも〝お腹を意識して〟力を入れたり抜いたりしているのです。〝お腹を意識して〟膨らますことでより力は抜けます。腹筋が緩むことでお腹は膨らみやすくなり、腹腔内の圧力は減り横隔膜の収縮を助けることになるのです。
 腹式呼吸というのはお腹を使うというよりも〝お腹を意識する〟呼吸法と言い換えることができます。

 次に胸式呼吸です。
 腹式と同じ書き方をすれば胸式呼吸とは〝胸を意識する〟呼吸法ということになります。
 もちろん胸(胸郭)は肺という器官があるので呼吸をしている部分です。しかし胸式呼吸は〝胸を意識して〟胸郭を膨らませることで、無意識に行う呼吸よりも多くの空気を肺に送り込むことができます。
 腹式と違うのはなにも意識する場所だけではありません。腹式では腹筋を〝緩める〟ことで横隔膜の動きを助けましたが、胸式では逆に筋肉を収縮させることで横隔膜の動きを助けます。
 胸式で収縮させる筋肉は胸鎖乳突筋・前斜角筋・中斜角筋・後斜角筋・内肋間筋といった呼吸補助筋です。主に胸郭上部にある筋肉を使って胸郭(肋骨)を広げているのです。
 胸式は骨格筋を使う呼吸法なので、動きを意識しやすい呼吸法でもあります。

 どうですか?
 腹式呼吸は吸気(吸う)時に「お腹を膨らませる=腹筋を緩める」ので腹圧はかけられません。また呼気(吐く)時も体の力を抜いて緩めることで行われるので腹筋は使いません。
 腹式呼吸がリラックスをするときに良いと言われる所以です。余計な力を抜いて呼吸ができるので、体の緊張をとるのに向いています。 
 胸式呼吸はそもそも〝お腹ではなく胸を意識して〟行うので腹圧をかけことはできません。正確には不可能ではないですが、それをすると胸郭をしっかり膨らませるのが難しくなり胸式の意味がなくなります。
 胸式で吸気の時にお腹がへこんで見えるのは、膨らんだ胸郭に腹部が引っ張られてへこんで見えるだけでお腹に力を入れているわけではないのです。
 但し腹式であっても胸式であっても、息を吐く時に意識的にお腹に力を入れれば、呼気(吐く)で腹圧をかけることは可能です。
 しかし腹式と胸式では吸気(吸う)・呼気(吐く)の両方で無理なく腹圧をかけるというのは難しいのです。
 ですが逆腹式呼吸であれば吸気(吸う)・呼気(吐く)のどの状態でも無理なく腹圧をかけることが可能です。ちなみに逆腹式呼吸も〝お腹を意識する〟呼吸法と言えます。

 何度も書きますが、腹筋を意識的に使うことで腰の負担は減らすことができます。
 いつも逆腹式呼吸をするというのは難しくても、重いもの持ち上げないといけない時だけでも逆腹式呼吸によって吸気(吸う)・呼気(吐く)のどちらでも腹圧をかける方法を知っていれば腰痛の予防になります。
 そして腹圧をかけるクセができれば、姿勢も変わってきます。
 腹圧をかけるという腹筋の使い方は最初は意識しないとできないことかもしれません。しかし何も特別なことではありません。カラダに最初から備わったごく当たり前の機能の中でちょっとした〝コツ〟を意識すれば使えるようになります。
 更に意識的に続けていれば、それはやがて〝クセ〟になり無意識にできるようになります。

 実は逆腹式呼吸というのは、世間が思う以上に有能なのではないかと私は思うのです。

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呼吸って自然にできるけど、何をしているかまでは意識してないよね?

 前回「腰(背筋)に負担をかけないためにも腹筋を姿勢の維持に使うのは良いこと」であると書きました。そして姿勢を維持する為の使い方とは「腹筋を使って腹圧をかけ、腹腔を内側から支えること」であると。

 

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 しかし、単純に腹圧をかけるというのであれば「お腹に力を入れる事」で可能ですが、普段の生活で常にお腹に力を入れ続けるというのはなかなか難しいですよね?
 そこで私が提案するのは普段行う「呼吸」を利用して腹圧をかけるクセとつけるというものです。と言っても特別な呼吸法ではありません。慣れていないと最初は戸惑いますが、誰でも簡単にできる呼吸です。
 その呼吸とはズバリ、「逆腹式呼吸」です。
 この名前、聞いたことがある人も多いと思います。あるいは「それならやってるよ」と言う人もいると思います。
 けんびきやでは「胸式呼吸」でも「腹式呼吸」なく「逆腹式呼吸」を推奨しています。もちろん目的によっては他の呼吸法も勧めますが、基本はあくまで「逆腹式呼吸」になります。
 ではなぜ「逆腹式呼吸」を推奨するのか……を書く前に、呼吸について簡単に説明しておきます。

 呼吸というのには大きく分けて二種類存在します。
 細胞呼吸(血液と細胞のガス交換)と外呼吸(空気と血液のガス交換)です。今回の話に関係してくるのは外呼吸になります。
 外呼吸というのは簡単に言ってしまえば、鼻(もしくは口)から吸って肺に空気を送り、また肺におくられた二酸化炭素を鼻(もしくは口)からはき出す行為のことです。「呼吸」と聞いて多くの人が思い浮かべるアレです。

 この時に行われる肺に空気を送り込む――吸う動作(吸気)と肺の中の空気を吐き出す動作(呼気)は、実は肺自身の容積(大きさ)の変化によって起こります。
 呼気は肺の容積が増大すると、肺の内部の気圧が肺の外の気圧(大気圧)より低くなり空気が流れ込みます。注射器で空気や液体などを吸引するときシリンダーを引き筒部分の容積が広がり、中に吸い込まれていく時と同じ現象です。
 吸気はその逆で肺の容積が縮小することで、肺内部の気圧を上げて空気を押し出します。注射器の例で言えば、シリンダーを押し出す時のと同じ現象です。
 そして肺の容積を変化させているのは横隔膜と外肋間筋(肋骨の間にある筋肉)の収縮と弛緩です。吸気は筋肉の収縮によって胸郭を広げますが、呼気は筋肉の弛緩によるものなので肺の弾性のみで行われ通常は筋力を必要としません。
 この横隔膜と外肋間筋のみで行う呼吸を「安静時呼吸」と呼びます。普段からしている呼吸がそれです。

 これに対し呼吸補助筋(胸鎖乳突筋・前斜角筋・中斜角筋・後斜角筋・内肋間筋・腹直筋・内腹斜筋・外腹斜筋・腹横筋)を動員して行う呼吸を「努力呼吸」と呼びます。
 努力呼吸とは横隔膜の活動だけでは換気量が足りない(例えば酸素不足)と判断された場合、呼吸補助筋によって胸空(肺のある部分)を大きく広げ吸気し、逆に呼気では膨らんだ胸郭が元に戻る手助けをします。
 激しい運動後に肩が上下するほどの呼吸をすることってありますよね? それが努力呼吸をしている状態です。
 ちなみに呼吸のニュートラルポジション(吸うことも吐くこともしていない基準位置)は横隔膜が弛緩しきった(安静呼吸時に息を吐ききった)状態になります。そこからさらに吐くことは可能ですが、その場合は呼吸補助筋を利用して胸空をさらに圧迫する必要があります。
 通常の呼気が筋力なしで可能なのは横隔膜が弛緩しきった(力を抜いている)状態が呼吸の基準位置になるからです。

 以上が呼吸の簡単な説明なのですが出てきましたね。呼吸補助筋の中に腹筋という名前が。
 そうです。腹筋は呼吸補助筋でもあるのでちょっとした〝コツ〟を意識して呼吸を行うことで、常に腹圧をかけるということができるのです。そしてその「常に腹圧をかける」為にお勧めなのが「逆腹式呼吸」です。
 どういった呼吸法なのかご存じの方も多いと思います。簡単に説明すると「息を吸う時にお腹をへこませて、吐くときに膨らませる」呼吸のやり方です。
 けんびきやではこの逆腹式呼吸を次のように指導します。

 1.まず、息を吐き切ります。
 2.息を吸います。この時、お腹に力をいれてへこませて(引っ込めて)ください。お腹の上部(みぞおち)をへこませるイメージです。
 3.息を吐きます。この時、お腹の上部(みぞおち)をへこませたまま、締めるように力を入れてください。そして上腹部に入れた力を下腹部に落とすイメージで、下腹部を膨らませます。それが分かりにくければ、下腹部を両手で押さえてその手を押し返すイメージです。

 これを見て「あれ? 自分の知ってる逆腹式呼吸となんか違けど……」って思った方いますか? そうです。多分、世間一般に言われている逆腹式呼吸とは違う部分があると思います。
 その違う部分が「ちょっとした〝コツ〟」になります。

 ではなぜこの「ちょっとした〝コツ〟」が必要なのか?
 なぜ「胸式呼吸」や「腹式呼吸」ではなく「逆腹式呼吸」なのか?
 呼吸と腹圧との関係は?

 その辺りの話は次回に。
 それまでに上に書いた「逆腹式呼吸」のやり方を練習してみてください。

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おい腹筋と背筋、もうお前たち付き合っちゃえよ! 内から支えることの重要性。

 前回の記事で「腹筋を鍛えても腰痛が改善しないのは〝腹筋を姿勢の制御に使えていない〟から」と書きました。そして使えていない理由を「背筋ばかりに頼っている」からであると。

 

kenbikiya.hateblo.jp

 実はこの「背筋ばかりに頼っている」というのは仕方のないことなのです。それは人間が直立した姿勢を保つようになる前――四つ脚――であった頃からの宿命とも言えます。
 ここで少し話題を変えて四つ脚だった場合、背筋はどういう役割をしているのか考えてみましょう。
 四つ脚の場合、背骨は重力に対して水平になります。この時、背骨は肺などがある胸空と内臓が詰まってい腹腔を吊り下げる梁のような役割になります。
 そして背筋群はその梁(背骨)が内臓の重さでたわまないように、〝ワイヤーのように張る〟ことで体を支える役割を担っています。ちょうど、吊り橋のような形ですね。
 梁となった背骨を〝ワイヤーのように〟支える背筋。もっと言うと〝背骨を引っ張るような筋肉の使い方〟と書くとピンとくるものはないですか?
 そうです。前回書いた「伸筋(背筋)による〝引っ張る〟」という働きと同じです。

 もちろん状況(四つ脚と直立)は違いますから、まったく同じというわけではありません。四つ脚の場合は四本の脚によって重力を支えています。梁のような状態の背骨ですが、ちゃんと四つ脚という〝支柱〟があります。
 ですが直立している場合だと四本の支柱はありません。背骨の前後(頭側を前とした場合)に支えてくれる存在はないのです。
 あるのは背骨は骨盤(仙骨)と直接繋がっている関節部分のみ。骨格だけで考えると手のひらの上に棒を乗せてバランスをとっているようなものです。
 それを倒れないように支えているのは背骨に付随する背筋です。背筋が〝引っ張る(張る)〟ことで背骨を支える(姿勢を維持する)という点では、四つ脚だった頃も直立した後も共通しています。
 負担具合や細かい働きは違いますが〝引っ張ることで支える〟というのは同じです。背筋は背骨を引っ張るのが得意(四つ脚だったころからの主な役割)な筋肉なのです。
 ということは背骨の動きを支配しているのは背筋群ということになります。背骨に付いているのは背筋群なのですからよく考えれば当たり前の話です。しかしここで言う〝動き〟というのはなにも関節の可動の話だけではありません。
 お辞儀をしたときの上体の前傾維持。逆に体を反らした時の後傾維持。そのどちらも主に背筋群によって支配されています。
 つまり背骨が何らかの形で動くのであれば、それは常に背筋を使っているということになります。だからこそ「背筋に頼りすぎ」るというわけです。

 それではお待ちかね(?)の「姿勢の維持に腹筋を使う」方法とはどういうものなのか?
 腹筋の使い方と書くと、脚を引っかけて上体を起こす「シットアップ」や体を丸める「クランチ」などのいわゆる筋トレのような動きを想像される人も多いと思います。また、上で書いた「お辞儀をする」という動きは、腹筋によって上体を曲げるという働きがあるからできます。
 確かに腹筋は屈筋(文字通り〝曲げる〟ことに使われる筋肉)に分類されるので通常、腹筋を使うと言えば上体を曲げる動きになります。
 伸筋である背筋とは逆の動きですね。
 ですがここで言う〝使い方〟とはそういった動作のことではありません。姿勢に関してもお辞儀をしたりといった状態ではなく、普通の立ち姿のことを指します。
 では姿勢の制御に参加させるための腹筋の使い方とは……ズバリ腹圧をかける腹筋の使い方です。よく「お腹に力を入れる」と言われるアレです。
 腹圧は腹筋群の緊張によって高まります。腹圧の上昇=〝腹腔内部〟の内圧の上昇ということです。そして腹腔とはどの部分なのか?
 そうです。前回の記事で書いたように「腹直筋・内外の腹斜筋・腹横筋などの腹筋群と体の後ろにある腰方形筋を含む一周」が腹腔です。
 ……とここまで書けば勘の良い方は気づくと思います。
 腹筋を使って腹圧を高めることにより腰を含む腹腔周りがその影響を受けるのです。
 ということは腹筋を意識的に使うことで、腰の負担は減らすことができるということになります。
 ここで一つ実験をしてみましょう。

 1.何も考えずにお辞儀をしてみてください。角度は90°。
 2.次に一度起き上がります。そしてお腹に力を入れてみてください。この時おヘソに両手を当てそれを押し返すようにすると力が入りやすいかもしれません。
 3.お腹に力を入れた状態でお辞儀をしてみます。角度は今回も90°です。

 どうでしょう? なにもせずにお辞儀をした時とは違い、お腹に力を入れてお辞儀すると前で支えてくれる感覚はありませんか? もっと言うと腰側(背面)に膨らんだ感じがしませんでしたか?
 大事なのはこの「前で支えてくれる」という部分です。
 なにもせずにお辞儀をした場合、上体を支えてくれるのは背筋になります。背筋が〝引っ張って〟背骨が曲がるのを防いでいるんですね。
 それに対し、お腹に力を入れる=腹圧をかけることによってほぼ水平になった上体は内部から腹腔が膨らむことで支えられます。ピロピロ笛を吹いた時に、管が伸びてくれるのと同じです。
 すると背筋の背骨を〝引っ張る〟という負担を減らすことができます。いくら腹圧をかけてもゼロにはなりませんが、負担は確実に減ります。
 これは体を曲げた時だけの話ではありません。普段の姿勢(立ち姿)から腹圧をかけてあげれば、背筋の負担は少なくて済むのです。それは良い姿勢にも繋がります。
 でも日常的に腹圧をかけることを意識して生活するというのは、ナカナカ難しいですよね?
 しかし普通に人間が行っている〝あること〟を利用して、腹圧をかけるというクセをつけることができます。

 そのあることとは〝呼吸〟です。
 それも「○○呼吸法」のような特別なものではありません。ちょっとした〝コツ〟は必要ですが、良く聞く普通の呼吸の方法です。
 それがなんなのかは、次回に。

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